平成26年9月29日に開催された臨時国会に提出される期待があった、自民党による「貸金業法の改正法案」の提出が結局見送られてしまいまいた。
(自民党の小口金融に関する小委員会が見直し案を策定し議員立法による法案提出を検討していました。)
【与野党対決となる法案提出は避けた様子】
政府としては、今国会では「貸金業法の改正法案」のような与野党対決が盛り上がるような法案提出はさける方針だったようです。
それは今回の臨時国会の開催中に福島、沖縄の県知事選が実施され、また、年末までに来秋予定されている消費税引き上げの判断を控え、「国会での失点は避けたい」との思いがあったからでしょう。
しかし、先の通常国会で廃案となった労働者派遣法改正案は再提出されており、「貸金業法の改正案」の提出を避けた理由はそれだけではなさそうです。
【マスコミの関心も低い】
前回の2006年の貸金業法改正の時は、マスコミ各社こぞって法改正案を後押しする動きが見られました。しかし今回の「貸金業法の改正法案」については、マスコミの関心度合はその時とくらべてあまりに低いものになっています。
通常、国会筋、政府筋、業界筋でも法案成立に熱心な人がある程度いるならマスコミへの働きかけは相当なものになります。
結局は業界全体での改正を求める声が圧倒的に足りなかったとも言えます。
また、06年の改正時の推進勢力であった弁護士、司法書士など法曹業界関係者も今回の改正案には沈黙を守っています。
改正案を支持する論調が盛り上がっていなければ、下手に騒がずに静観していたほうが都合がよいからとも考えられます。
【貸金業界の課題】
それにしても今回の改正案提出にあたり当の貸金業会の目立った動きは何もありませんでした。
一連の法改正や過払い返還などで業界自体の体力も低下していると考えられますが、貸金業界は法曹界や司法の動きに対して、あまりに受け身であったとも言えます。
確かに「貸金業=悪」という偏ったイメージが根強くあるため、世論を味方にするのはなかなか容易ではありません。
しかし健全な貸金業会を構築してゆくためにも、主張すべきことは主張し、戦う姿勢を示さなければ、結局は法曹界を潤すだけの改正となってしまいかねません。
またそのことは結果、消費者の利益にもつながることと思われます。
今後、貸金業界の動きには期待したいと思います。
投稿者プロフィール
- 主にサイトの編集を担当するが、記事の執筆も行う。某銀行に勤務していたが脱サラ。金融関連の出版社との馴染みが深く、金融業界の知識も豊富。
最新の投稿
- キャッシング最新情報2017.02.11キャッシングと年齢の関係
- キャッシング最新情報2017.02.11レディースローンへの取り組みについて業界に提案
- キャッシング最新情報2017.02.11銀行カードローンによる過剰貸付け調査が開始
- キャッシング最新情報2017.02.11貸金業法成立から10年を経て