2014年8月8日付ニッキンの「多重債務者が下げ止まりの兆し、法改正時の6分の1以下」という記事によると改正貸金業法の完全施行から4年が経過したいま、「法改正の契機となった多重債務者数に下げ止まりの兆しが出ている」とあります。
【多重債務者数は改正時の6分の1】
記事によると、「日本信用情報機構(JICC)の調査によると多重債務者の指標となる『5件以上の借入』をしている人数は2014年6月末で18万人であり、改正貸金業法が完全施行された2010年6月の111万人に比べ6分の1以下に減少しているとのことです。
しかし、ここにきて減少幅は縮小しており、多重債務者は毎年3万~4万人ずつ減少してきましたが4月以降は横ばいの状況が続いているとのことです。
またクレジット会社中心の信用情報機関シー・アイ・シー調査でも同様の傾向にあるようです。
【要因は総量規制の浸透】
記事は、主な要因は総量規制の浸透としています。例えば消費者金融・アイフルでは新規顧客のうち、アイフル単独か他の1社からの借り入れの顧客が全体の7割以上を占めているそうです。また『過払い金返還請求』で債務圧縮をして借り入れ件数を減らす顧客数が減少していることも多重債務が下げ止まっている背景にあるそうです。
【多重債務問題の本質を捉える必要があります】
毎年3万人から4万人ずつ減ってきた多重債務者数が4月以降横ばいであることの評価はもう少し貸金市場の様子をみないと今の時点ではわかりません。
しかし借入件数5件以上の人数が、2010年6月の111万人から6分の1以下に減少したことは一定の評価はすべきでしょう。
但し、そもそも借入件数が5以上の債務者を「多重債務者」として捉えることは2006年の改正論議が盛んだった頃のマスコミ報道がきっかけで出た件数であり、多重債務の本質的問題の捉え方が根本的にずれているともいえます。
重要なのは件数が5件以上か未満かではなく自力返済が不可能な債務を背負っているかどうかであり、借入件数で決まるものではないとも言えます。
また、本当に必要な資金の借入までもが制限されてしまった人もどのくらいいるかという問題もあります。
現在、このような問題を踏まえた貸金業法の再改正が必要との意見も出ています。
投稿者プロフィール
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