8月19日付、西日本新聞で「返還過払い金着服横行?弁護士、司法書士45件判明 消費者金融・抽出調査」と題して過払金が返還されたにもかかわらず弁護士や司法書士が依頼者に返還金を渡しておらず、「着服が疑われるケースが2012年以降、九州など全国で少なくとも45件(計1,700万円分)あったことが、大手消費者金融会社の調査で分かった」と報じられました。
また、「依頼を受けていない人の過払い金を勝手に請求したケースもあった」として、その大手消費者金融会社が「過払い金の仕組を利用した悪質な行為」として、「依頼者の同意が得られた8件について法務局などに懲戒請求した」とのことです。
≪弁護士、司法書士の不正の実態≫
その大手消費者金融会社には毎年、過去に借金をした約7万人から過払い金の返還請求があるそうです。その内、代理人の弁護士や司法書士に返還を終えたものから約2,500件を抽出して過払い金を受け取ったかどうかの聞き取り調査を実施しているそうです。
その結果、弁護士14人に依頼した27人と、司法書士15人に依頼した18人が「返還されたとは知らなかった。金は受け取っていない」と回答したそうです。
また、このうち弁護士1人、司法書士4人の依頼者については「弁護士や司法書士とは会ったこともない」と回答しており、依頼すら受けずに勝手に過払い金を請求した疑いもあります。
このようなことからも廃業した貸金業者から流出した名簿を利用して本人の知らないうちに無断で過払い金を請求している弁護士や司法書士の存在が疑われています。
≪過払金返還請求の落とし穴≫
通常、弁護士、司法書士が債務整理の受任をした後は、債務者本人と直接交渉することは禁止されているので、それ以後過払い金返還交渉などをする際も貸金業者と債務者本人が直接接触することはほとんどありません。
このような不正が起きないよう本来は法曹界で自主ルールを定めるべきですが、現段階では「弁護士、司法書士は不正をしない」という性善説を信頼するしかない状況です。
またこのように報道される以前からこのような弁護士、司法書士の不正に遭遇することは些細なことも含めて現場の債権管理担当者にとっては日常茶飯事との話もよく聞きかれていました。
今回のような不正は、身内に甘い法曹界のスキをついて起こるべくして起こったとも言えます。
≪弁護士、司法書士に不審な点がある場合は≫
前述したように弁護士や司法書士は聖職とのイメージが強く無条件で信用してしまう人も多いと思います。しかし弁護士も司法書士もサービス業であり所詮はビジネスパーソンで現実にこのような不正も起こっています。
弁護士や司法書士に関する不審点は、日本弁護士連合会・日本司法書士連合会へ相談することをおすすめします。
投稿者プロフィール
- 主にサイトの編集を担当するが、記事の執筆も行う。某銀行に勤務していたが脱サラ。金融関連の出版社との馴染みが深く、金融業界の知識も豊富。
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