平成28年2月6日の朝日新聞に、“最大手の「司法書士法人新宿事務所」が日本司法書士会連合会(日司連)が、平成23年に決めた報酬指針から逸脱した多めの報酬をとっていたことが分かった。”という記事が掲載されました。
(「司法書士法人新宿事務所」は従業員約500人うち司法書士約100人で、新宿本店以外にも関東3県や宮城県に支店を持つ業界の最大手です。
貸金業界の調べでは平成26年度で過払い金請求業務の扱い件数が全国の弁護士・司法書士事務所の中で約2割を占めて首位。大量のテレビ・ラジオCMなど積極的な広報宣伝戦略でも知られています。)
過払い金の返還は司法書士事務所や弁護士に依頼することが通例ですが、不当に高い報酬を得ているとの批判が続出し、日司連が指針をつくったという経緯があります。
報酬には、①成果にかかわらず受け取るもの②借金を減額させた場合受け取るもの③払いすぎた利息を取り戻せたら受け取るものがありそれぞれに上限が設けられています。
ただし、②では利息制限法に再計算しただけで減額されたことを貸金業者が認めた場合は、「何ら交渉することなく減額された」とみなされ、報酬は受け取れないとされています。
朝日新聞の調査によると、貸金業者をほぼ網羅する11社の集計で、新宿事務所の扱いで減額した分は、平成26年4月からの1年半で合計約70億円。その26.9%にあたる約18億円の報酬を、指針に逸脱して受け取っていた計算になります。
また、新宿事務所では③でも指針の上限を上回る報酬を受けていました。
日司連の報酬指針には法的拘束力はありませんが、日司連も「『報酬額を適正化することで依頼者の利益の保護を図るとともに司法書士に対する国民の信頼を確保する』とした指針の目的から大きく外れている。依頼者の生活再建を目指すためには、なるべく多い金額を返すべきなのに遺憾だ。司法書士のモラルが問われる」と批判。
対して新宿事務所は「指針は会員の執務を直接拘束する規範ではない。参考にするべきガイドラインではあっても、契約自由の原則のもと、各司法書士法人が独自の報酬体系を定め、指針とは異なる契約を締結することも許されると考える。」と反論しています。
しかし、司法書士や弁護士の報酬は、法律に違反していなくても倫理上適切かどうかどうかで判断する必要があるという意見もでています。
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